2010年08月18日

荒井良二 スキマの国の美術館

先日、うらわ美術館で開催されている、荒井良二さんの展覧会に行ってきました。お子さんのいらっしゃらない方には、荒井良二さんといってもピンとこないかもしれませんが、日本を代表する絵本作家です。彼の絵本には、とてもとても純粋で素直な、それゆえにストレンジな、だけれども理屈抜きに伝わってくる独特の世界観(=スキマの国)が、絵画からストーリーまですべてを通して精緻に構築されていています。小さな子どもから大人まで楽しむことができる稀有な存在だと思います。
僕が荒井さんを知ったのは、NHK教育テレビの「プチプチ・アニメ」という子ども向けの5分番組で、「スキマの国のポルタ」というアニメを見たから。まだ1才くらいだったウチの子たちが喜んで見ているのを、後ろから何気なく見ていたら、あまりの素晴らしさに思わず引き込まれてしまいました。絵本好きの妻もとても気に入って、荒井さんの絵本をいろいろと買いましたが、そのどれもが素晴らしい。そこで、展覧会に出かけたわけです。

原画は、予想を遥かに超えていました。鮮やかな色彩と良く言われるようですが、単に鮮やかなだけではなく微妙なニュアンスを幾重にも重ねたような、とても深い奥行きを感じる色合いです。精妙な構図により絵に独特の立体感が生まれていて、今にも動き出しそうなリアリティのある幻想世界が作り出されています。絵本は安価に供給されるためか、それほど良い印刷ではありませんから、原画のポテンシャルはフルには再現されていなかったのです。それでも十分に素晴らしいのですから、驚きですが。
この展覧会は、これまでにも全国を巡回してきたようですから、ご覧になった方も多いと思いますが、まだ見ていないという方にはお奨めです。
 

うらわ美術館「荒井良二 スキマの国の美術館」展

荒井さんの絵本はどれも素晴らしいですが、僕がお奨めなのは「スキマの国のポルタ」のDVD。オマケ付きのボックスセットで少々高価ですが、いつまでも色あせることのない世界がそこにはあります。
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2010年08月17日

ティンバライズ「喫茶」展 好評開催中

ご存知の方も多いと思いますが、現在、team Timberize 主催の展覧会を、渋谷にて開催中です。実はこの展覧会には、僕はプロデューサーとして参加しています。とは言っても、別に大したことはしていないんですけれど。会期も半分くらい過ぎてしまいましたが、ちょこっと告知しておきます。

ティンバライズ「喫茶」展
8月 19(木)-21(土)/24(火)-29(土)/31(火)
12:30 - 18:30
ウィリアムモリス 珈琲&ギャラリー
(渋谷区渋谷1-6-4 The neat 青山2F/03-5466-3717)
詳しくはこちらをご覧ください。(開催日は一部変更になっています)
会場には、team Timberzieのメンバー及び準メンバーの8名が、「ティンバライズ!!」をテーマに制作した11の木のインスタレーションが展示されています。

僕はここに2つの作品を出品しています。一つは「gradation」というもので、「空間の疎密と時間の速度の変化」という、僕の原点ともいうべきテーマを、木を組み合わせたピースを使って表現しています。もう一つは「overdose」というもので、日本の「木」にまつわる物語から自由になる手法として、無意味で過剰な木の表現を試みています。 と、こんなふうに書くととっても堅苦しそうな印象かもしれませんが、会場にはこのような面倒くさそうな説明はなく、単純に見て楽しんでいただけることになっていますので、ご心配なく。ぜひ見に来て下さい。5月にスパイラルでやった「ティンバライズ建築展」の豪華(?)カタログも売ってます!!

「gradation」で使用した木のピース。(実際の作品はこれとは違います。)
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2008年11月04日

マイ・アーキテクト ルイス・カーンを探して

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公開された際に見逃してしまい、いつか観たいと思っていたこの映画を、連休中にようやくDVDで観ることができました。
とても素晴らしかった!! 建築家ルイス・カーンの生き様が、建築作品となって立ち現れている様子が、理屈抜きで、非常にクリアに表現されています。
内容は、彼の私生児であるナサニエル・カーン(この映画の監督)が、父の真の姿を求めて、カーンを知る人々を訪ね、カーンの建築を巡る、というドキュメンタリー。
しかし我々鑑賞者は、カーンの人生の(やや複雑な)事情を知ることよりも、建築家としてのカーンの存在そのものに圧倒されてしまうのではないでしょうか。それは、ある意味で監督の意図でもあるでしょうし、意図を超えて現れる強度が画面から伝わってくるとも言える(おそらくその両方)。そのバイブレーションが、身体に直接伝わってくるように感じました。
カーンの代表作を、とても美しい映像で観ることができるのも秀逸。
実は、僕はまだカーンの建築を実際に見たことがないのです。
やはり、どうしても一度見ないといけない、ということが分かってしまいました。
 
マイ・アーキテクト ルイス・カーンを探して

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2008年09月04日

鳥の巣

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ヘルツォーク&ド・ムーロンが設計した北京オリンピックの競技場「鳥の巣」のドキュメンタリー映画を見て来ました。
映画は、ヨーロッパ人から見た不思議な中国という観点からまとめられているので、それを強調するためかやや演出過多な感も。もっと創作の過程を見せて欲しかった…って、一般の方には退屈かもしれませんけどね。
それでも、現代建築家のトップを走る彼ららしいデザインに対するスタンスは、十分に見ることができます。ニュートラルでフラットな状態からスタートし、常に複数の選択肢を用意しながら、明快な判断でデザインを進めて行く。
特に学生の皆さんには、参考になる部分が多いのではないでしょうか。
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2008年08月29日

藤森泰司アトリエ展

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最近忙しくてご無沙汰だったのですが、久しぶりに展覧会を見に行きました。
藤森さんについては前のブログでも書かせていただいたことがあるのですが、新進気鋭の家具デザイナーです。最近では、山本理顕さんの福生市役所で、かなり大々的に家具を手掛けられているので、雑誌などで見かけた方も多いのではないでしょうか。
今回の展覧会は、「1/20,1/10,1/5,1/1」と題されていて、スケールの違う様々な模型が並べられて、面白い光景を作り上げています。

その何とも言えない藤森ワールドに浸るも良し。
また、模型を子細に見てみると、非常に精巧で、コンセプトが的確に表現されているのが何とも素晴らしい。そんな観点で見てみるのも良し。
色々な楽しみ方ができて、ずっと見ていても飽きない不思議な魅力に溢れていました。

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2008年05月09日

ミツバチのささやき

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今年のGWは何かと忙しかったのですが、最終日にお休みが取れたので、昔ビデオテープに録画していた映画を、試しにDVDに落としてみました。映像が劣化していくのでは、とかねがね気になっていたのです。
テレビから録画したものだから、元が大して良くないのだけれど、やはり悪くなっているような気がしました…まあ、きちんと管理しているわけではないし、見るのも久しぶりだから仕方ないんですけどね。

「ミツバチのささやき」は大好きな映画なので、DVDを購入できると良いのですが、現在は廃盤になっていて入手困難な状態なのです。本やCDもそうですが、思い立ったときに買わないと、こうなってしまうものなのかしれません。

有名な映画なので、詳しく説明する必要はないと思いますが、スペインのビクトル・エリセ監督の1973年の処女作品。とにかく映像が印象的。少し霞がかかったような質感の中に、陰影が見事に表現されています。
陰影というとコントラストをはっきり付けたくなりがちですが、全体のトーンがぼやけているので、光といってもまぶしい明るさはなく、また暗さは闇の奥行きとして表現されているのです。それが作品のテーマ(これも良い)と非常に良くマッチしているのが、素晴らしいところ。ルイス・デ・パブロの音楽も秀逸です。久々に見て、感動を新たにしました。

建築を考える上でも、いろいろと参考になりそう…て、すぐにそういう風に考えるのは良くないのかもしれませんが、職業病ですね。

ミツバチのささやき
posted by kuharc at 18:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | アート